祭は城と街並みと一蓮托生だ!
「歴史的建物を破壊した街並みは記憶を喪失した人生と同じ」
—アメリカ初期の街並みが残るボストンを訪れた時出会った言葉です。
犬山城下町は犬山城を精神性の中心に置き、江戸の街並みを伝える路地と
瓦屋根の木造建築群が影のあるふる里の記憶を伝えてくれます。
犬山城下町の空間は原則的には当時の尺貫法で構成されています。
近代のメートル法が人工的に作られた寸法であることを考えると、
犬山城下町は日本の街並みが喪失したアナログなノスタルジーを思い起こさせてくれます。
その不動の定型詩の中に嬉々として自由詩を唄うのが犬山祭です。
犬山祭は犬山城と城下町の物語を紡ぎ、内外の多くの人を惹きつけやみません。
祭人たちは群れる観客の視線を浴びいやがうえにも高揚します。
そしてその高揚感がまた観光客を魅了し、祭り全体が自由と歓喜の坩堝(るつぼ)となります。
犬山城下町は犬山祭を唄う檜舞台です。
犬山祭保存会長 石田芳弘